接続詞を用いて2つの文を1つにするとき、それぞれの節の動詞をどうすればよいか迷ったことはありませんでしょうか。あるいは、実際に定期試験や模擬試験などで不正解だったりして悔しい思いをしたことはありませんでしょうか。
単文だけで見ると、それぞれの文法をある程度マスターしたといえるほど学んだにしても、あと一歩というところで、「時制の一致」が行く手を阻むということもあります。それも、必ず一致させるのではなく「原則として」一致させるということなので、例外も考えなければならないので、また厄介な部分だと思います。
この課では、時制の一致について説明し、より柔軟な英文法のマスターにつなげられるようにしたいと思います。
時制の一致とは
主節と従属節からなる複文で、主部の動詞が過去形である場合、従属節の動詞も過去形にする原則があります。これを「時制の一致」といいます。
主部の動詞が現在形であれば、従属節の動詞は、その意味にしたがって時制を決めてよいことになり、あまり問題にはなりません。
(例1) You’ll think (that) I wrote this letter to her yesterday.
「あなたは私が昨日彼女に宛てた手紙を書いたのだと思うでしょう」
主節は現在形の助動詞を伴ったwill think ですが、従属節(省略されているthatのあと)では、過去形wroteが用いられています。これは問題ありません。
しかし、現在の内容を過去の内容に言い換えるときに、「時制の一致」のことについて考えなければなりません。
(例2) I know he wants to get a new computer.
「私は彼が新しいコンピュータを欲しがっているのを知っている」
→ I knew he wanted to get a new computer.
「私は彼が新しいコンピュータを欲しがっているのを知っていた」
ここで、日本語と英語との感覚の違いが産まれます。英語をそのまま日本語に訳そうとすると、「私は彼が新しいコンピュータを欲しがっていたのを知っていた」、というように、主節も従属節も両方過去形として訳したくなります。
しかし、英語の世界では、従属節の動詞は「主節の時制と同じ時になされていた」というために、主節の過去時制にそろえるということになります。この例では、私が「知っていた」時点では、彼は「欲しがっている」のです。
もし私が「知っていた」時点で「欲しがっていた」のであれば、次のように従属節で過去完了を用いることになります。
(例3) I knew he had wanted to get a new computer.
「私は彼が新しいコンピュータを欲しかったことを知っていた」
「私が知っていた」時点から見ると、「彼が欲しがった」のは過去のお話になります。そのため、主節は過去形、従属節は過去完了形となるのです。
このように、英語の複文と時制については、時間軸の流れの中で、【主節】と【従属節】はどういった前後関係になるのかを、常に意識することが大切になります。
時制の一致の例外
時制の一致は「原則」としましたが、例外も存在しますので、いくつかご紹介します。
【時間の概念を超越した「現在形」】
Day 2でも扱いましたが、不変の真理や現在も変わらない事実は現在形で扱います。
(例4)I learned that air contains oxygen and carbon dioxide.
「私は空気が酸素と二酸化炭素を含むことを学んだ」(不変の真理)
(例5)He said that his hobby is cycling.
「彼は自分の趣味がサイクリングであると言った」(現在も変わらないこと)
【歴史上の事実は常に「過去形」】
Day2では、歴史上の出来事を現在形で表すことがあると学びましたが、それは単文(主節)のみで、博物館の展示や伝記などで史実をリアリティあるものとして伝える場合となります。複文で、従属節で使う場合は、常に「過去形」となりますので、混同しないようにしましょう。
(例6)I learned that the Tokugawa shogunate lasted more than 250 years.
「私は徳川幕府が250年以上続いたことを学んだ」
【実際の時を表さない仮定法はそのまま】
主語の動詞が過去(完了、進行、完了進行を含む)形でも、従属節に仮定法がある場合は、時制の一致の影響は受けません。それは、仮定法が実際の時を表さないからです。
(例7)She said that if I kept traffic rules I could avoid paying fine.
「彼女はもし私が交通ルールを守っていたら、罰金を払うことは避けられただろうにと言った」
発言した時点で、事実に反する内容を仮定しているので、仮定法過去がそのまま用いられています。
練習問題
35. 次の(1)~(4)の英文が、日本語の意味になるとき、文中の( )に当てはまる語句を、ア~エからそれぞれ選びましょう。
(1)I thought you ( ) his house easily.
「私はあなたが彼の家を簡単に見つけられると思った」
ア find イ found ウ can find エ could find
(2)He said that he ( ) his new cellphone.
「彼は新しい携帯電話を手に入れていたと言っていた」
ア gets イ got ウ had got エ has got
(3)My son learned that water ( ) into water vapor at 100℃.
「私の息子は、水が100℃で水蒸気になることを学んだ」
ア changes イ changed ウ has changed エ had changed
(4)My father said that if I studied math more I ( ) become a scientist.
「私の父は、私がもっと数学を勉強していれば、私は科学者になれていたのにと言った」
ア would イ could ウ should エ have
練習問題34.の答え
(1)イ His bag is ( bigger ) than mine.
「彼のカバンは私のものより大きい」
(2)ウ The movie you recommend is ( more interesting ) than this new one.
「あなたがすすめる映画はこの新しい映画よりも面白い」
(3)エ My grandfather is senior ( to ) my grandmother.
「私の祖父は、私の祖母よりも年上だ」
(4)ア The Ishikari River is ( the third longest ) river in Japan.
「石狩川は日本で3番目に長い川である」
(5)ウ No other chair in this store is ( cheaper than ) this one.
「当店ではこの椅子よりも安いものはございません」