30日で学ぶ高校英語|Day10【助動詞のおはなし①助動詞・総論】

中学英語までで、おおかたの助動詞は習ってしまいましたが、助動詞の機能や、用いられる具体的な場面の説明までは、受けていましたでしょうか。また、助動詞の直後は、動詞の原形をとると教わってきたことと思いますが、必ずしもそうであるとは限りません。

実は、現在分詞に結びついて「~している」という進行形を作ったり、過去分詞に結びついて「~される」という受動態を作ったりするbe動詞も、分詞につながる場合は「そのような状態である」という意味を示す助動詞となります。また、過去分詞と結びついて完了形を作るhave / has / hadも、「動作の終わりごろの状態を、その時制に持ち込む」という働きをする助動詞となります。

 

中学英語では、こうした説明をすると混乱するだろうとのことで、便宜的にこうした説明をすることになっています。しかし、英文法を掘り下げれば掘り下げるほど、こういった便宜的な説明だけでは当然不足する場面に遭遇します。

そこで、この課からしばらく、奥の深い助動詞について少しスペースを割いて、表現の幅をもっと広げるためのお手伝いをさせていただきたいと思います。

 

本動詞と助動詞

be動詞と一般動詞の分類以外にも、動詞の分類として、本動詞と助動詞というものがあります。本動詞というのは、助動詞をつけなくても動詞として意味が通り、英文を構成することができる言葉をいいます。また、助動詞というのは、本動詞の意味を拡張する(助ける)機能を持つ言葉をいいます。

 

【法助動詞】

次の例文では、下線を引いた語が本動詞、太字が助動詞を表しています。

(例1) I go there without you.

「あなたが一緒でなくても、私はそこに行く

(例2) I can’t go there without you.

「あなたが一緒でなければ、私はそこに行くことができない

 

上記の2つの例文では、goが本動詞となります。(例2)のgo「行く」につけられたcan’tは、「~することができない」という意味をあらわす助動詞となります。このcan’tのように、本動詞に意志・可能性・能力・義務などの意味を付け加える助動詞を「法助動詞」といいます。

 

【法助動詞の例】

can(可能) ・will(意志/未来) ・may(可能性/許可) ・must(義務)

dare(あえて~する) ・ought to(義務) ・used to(過去の習慣) など

 

中学時代までよく耳にしたでありましょう、「助動詞のあとには動詞の原形」というのは、厳密には、「助動詞のあとには、動詞の原形」ということになるのです。

 

それでは、法助動詞以外のものは、どういったものがあるでしょうか。いくつか例を挙げますので、見てまいりましょう。

 

【助動詞のbe

(例3)I am twenty years old.

「私は20歳です

(例4)I am drinking beer now.

「私は今、ビールを飲んでい(る状態にあり)ます

(例5)The book was written in English.

「その本は英語で書かれ(る状態にあり)ました

 

いずれも、be動詞を用いた例文ですが、(例3)だけがbe動詞を本動詞としています。(例4)・(例5)では、be動詞は「~の状態にある」という意味を表す助動詞となり、直後に用いられている現在分詞や過去分詞が、本動詞という扱いになります。

つまり、(例4)では「飲む」動作、(例5)では「書く」動作が、それぞれ文の中で大切な意味になっており、それらの動詞を分詞にすることで、動作がどうなっているのかを表し、助動詞のbe動詞を用いることで「その状態にある」と示していることになります。

 

【助動詞のdo

(例6)I will do my homework soon.

「私はすぐに宿題をするでしょう

(例7)Does your father work over 10 hours a day?

「あなたのお父さんは1日10時間超働いています

(例8)I think it’s bad to smoke while walking. How do you think about that?

— I do agree with you.

「私は歩きたばこは悪い事だと思います。あなたはそれについてどう思います?

…私はあなたに本当に同意します。」

 

(例6)のdoは、法助動詞willのあとに置かれ、do one’s homework「宿題をする」という意味になる熟語をつくる本動詞です。これに対し、(例7)の文頭に置かれるDoesには、本動詞work「働く」にかかって、「働きます」という疑問の意味を持たせる助動詞の働きがあります。

また、(例8)のdoは、agree「同意する」の意味を強調し、「ぜひ」「本当に」などという意味を付け加える助動詞の働きがあります。

助動詞のdoには、まだまだ使い道があります。

 

(例9)Seldom do I eat fish. (=I seldom eat fish.)

「私はめったに魚を食べない」

この例では、通常「主語+動詞」の語順になる英文でも、【具体的に主張したい内容ほど文頭になる】という性質から、程度を表す副詞seldom「ほとんど~ない」を文頭にした、倒置構文をとっています。

この英文の順番通り日本語に直すと、【ほとんどないすること/私/食べる/魚】という語順になります。なぜこの語順になるかと言うと、【関連性の近い語句は互いに近づく】という性質のため、副詞が強調したい「~すること」主語より先に来てしまうからです(詳しくは倒置構文の課で説明します)。

 

(例10)He often eats vegetables and so do I.

「彼はよく野菜を食べ、私もよく食べる

この例では、主節にある「食べる」という動詞を、繰り返して使うのを避けるため、「そうする」という意味で用いる「代動詞」としてdoに置き換えたものです。代動詞としてのdoは、Do you ~?で聞かれた答えとして、Yes, I do. / No, I don’t. と返すときにも用いられています。

ちなみに、この文でも、従属節(and 以降の文)で因果関係を表す副詞soを強調する倒置構文となっています。

 

【助動詞のhave

過去分詞と結びついて、完了形をつくります。イメージとしては、【動作の終わりごろの状態】を「持っている」あるいは、その時制に「持ち込む」というニュアンスで、haveが使われることになっています。

 

(例11) I had never been abroad before I went to Italy last year.

「私は昨年イタリアに行くまでは、海外に行ったことがありませんでした」

この例では、本動詞は、「存在していたことがある場面」を示すbeenとなります。昨年よりも前に「行ったことがなかった」状態を、昨年の時点に持ち込んだという意味で、had完了形を表す助動詞として使われていることになっているのです。

 

練習問題

15.次の(1)~(5)の場面にあうように、(   )内に適切な助動詞を、後の語群から選んで書き入れましょう。

 

(1)”Excuse me. How (       ) I get to the station?”

“Just go straight for five blocks and you’ll find it.”

 

(2)”We’re going to have a party at his house next Sunday. Are you going to come?”

“I (          ) go because I hate him. He’s always speaking ill of others, indeed.”

 

(3)”I went to New Chitose airport last year. (           ) you been there?”

“Yes. I was surprised at the number of stores.”

 

(4)”I don’t like this taste because it’s too salty.” “Neither (          ) I.”

 

(5)”The weather report says that it (           ) rain this evening.”

“I have to bring my umbrella.”

 

【語群】 won’t  /  do   /    may    /  have  /   can

 

練習問題13.の答え

(1) The traffic jam ( came about ) yesterday afternoon.

「そのあたりに来る」→「発生する」(=happen)

 

(2) He ( passed away ) yesterday because of lung cancer.

「向こうへ渡る」→「逝去する」「他界する」(=die)

 

(3) My son ( takes after ) his grandfather.

「あとをとる」→「似る」(=resemble)

 

(4) I want to ( put off ) the trip there because I have stomachache.

「外すほうに置く」→「延期する」(=postpone)

 

(5) I’m disappointed. You are the last person that I can ( count on )!

「数えて乗せる」→「見積もって乗せる」→「あてにする」「頼る」(=rely)

 

練習問題14.の答え

(1)He always ( continued ) paying respect to his ancestors.

「彼はいつも祖先に敬意を払い続けていた

(2)I’ve just ( detected ) that this building was built in 1980s.  ※別解 identified

「私はその建物が1980年代に建てられたと、ちょうどわかったところだ

(3)I failed to ( submit ) my reports to Mr. Williams yesterday.

「私は昨日、ウィリアムズ氏へレポートを提出しそこねた」

 

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