英語の形容詞・副詞の比較表現は、短めの形容詞の語尾に”-er”や”-est”を付けたり、長めの形容詞の前にmoreやmostを足したりするということは、中学英語で習ったことと思います。高校以降の英語でも、基本的には変わりはないのですが、すべてワンパターンというわけはなく、そこについて学ぶことが、障壁だったり醍醐味だったりするところです。
今回は、比較表現の基本と、いくつかの注意点についてお伝えしたいと思います。
比較構文と語形変化
状態を表す語句である形容詞や、程度などを表す語句である副詞には、「より~だ」「もっとも~だ」と表現するときに、語句の形やコロケーション(異なる語句が共に配置されること)の基本的な扱い方をマスターする必要があります。
その際に、まず覚えておきたいのが、語形変化となります。では、どういった場合が、”-er”や”-est”を語尾につけることになるのか、どういった場合がmoreやmostをつけることになるのかを、具体的にお伝えしたいと思います。
形容詞・副詞が「1音節語」ないし「一部の2音節語」→”-er”,”-est”型
実は、形容詞に限らず、名詞や動詞の語形変化についても、規則的な変化をする場合にカギを握る要素が「発音のしやすさやリズム感のよさ」です。形容詞の場合は、短い語句に”-er”や”-est”をつけると読みやすいのですが、長い語につけてしまうと、語尾の”-er”や”-est”を読んで、「比較級」や「最上級」であるとわかるまでのリズム感に、乱れが出てしまいます。
では、どのぐらいが「長い」「短い」を分けるのでしょうか。
そのポイントは「音節」です。【母音1つを含む音節=1音節】とカウントすると、1音節や、一部の2音節語は「短い」ほうに仕分けされます。
なお、以下に示す変化は、【原級-比較級-最上級】の順です。
(例)1音節 → long– longer – longest
語尾が黙字(読まない文字)eで終わる語 → nice – nicer – nicest
短母音字+短子音字で終わる語 → hot – hotter – hottest
※短子音字を重ねます。
子音字+yで終わる語 → dry – drier – driest
※yをiに変えて、”-er”や”-est”をつけます。
形容詞・副詞が「一部の2音節語」や「3音節以上」→more, most型
2音節語のうち、接尾辞(語尾)が”-ful”, “-less”, “-ive”, “-ing”, “-ous”, “-ish” であるものや、3音節語以上のものは、形容詞や副詞の前に、比較級ではmore、最上級では(the) mostをつけます。
(例)hopeful – more hopeful – most hopeful (2音節・接尾辞-ful)
intelligent – more intelligent – most intelligent (4音節)
その他不規則なもの
*意味の取り方によって変化が2通りあるもの
late – (時間)later / (順序)latter – (時間)latest / (順序)last
far – (距離) farther / (程度) further – farthest / furthest
old – (新旧) older / (長幼) elder – oldest / eldest
*特殊な変化
good /well – better – best bad / ill / badly – worse – worst
many / much – more – most little – less – least
比較級を用いた表現
「より~だ」としたい形容詞を、次のように取り扱います。
*”-er”型:語尾に”-er”をつける。比較対象があれば、形容詞のあとにthanを置く。
(例1)Mt. Mont Blanc is higher than Mt. Fuji.
「モンブランは富士山よりも高い」
*”more”型:形容詞はそのままにし、直前にmoreを置く。比較対象にはthanをつける。
(例2)His book is more interesting than mine.
「彼の本は私のものよりおもしろい」
※反意表現「より~ない」とするには、moreのところをlessにします。
*比較級を強めるには、形容詞の前にmuch, far, a lot, even などを置きます。これは”-er”型もmore型も同じとなります。
*形容詞が-orで終わる比較級には、比較対象にthanではなく、toを置きます。
(例3)He is senior to my brother.
「彼は私の兄より年上だ」
*比較級を用いて、次のように最上級の内容を表現することもできます。
(例4-1)Tokyo Sky Tree is higher than any other towers in Japan.
「東京スカイツリーは日本のほかのどのタワーよりも高い」
(例4-2)No (other) tower in Japan is higher than Tokyo Sky Tree.
「東京スカイツリーほど、日本で高いタワーはない」
最上級を用いた表現
基本的には、最上級は「最も」という意味があることから、特定性を示すtheを置いてから、語尾を”-est”した形容詞を使うか、most +形容詞を使います。
(例5) This is the highest mountain in this area.
「これがこの地方で最も高い山です」
(例6) This is the most exciting book in my room.
「これが私の部屋の中で最もわくわくする本です」
*「~番目に…な」という表現も、最上級をこのように使うことで表現できます。
(例7)She is the second shortest girl in her class.
「彼女はクラスで2番目に背の低い女の子だ」
このことは”-est”型も、most型も変わりません。most型では、most(最も)を序数に換えただけですので、”-est”型よりも楽かもしれませんね。
*同一人・物の比較、副詞、文語調表現の中では、最上級の前にtheを用いないことがあります。
(例8)The sea is calmest in summer in this area.
「この地域では、夏に海が最も穏やかになります」(同一地域内での海の比較)
原級を用いた表現
* as 原級 as A / 「Aと同様に…」
(例9) My sister is as tall as my father.
「私の姉は、私の父と同じだ」
※tallはあくまでも「背の高さ」について表しているのであり、「同じぐらい背が高い」とはなりませんので注意が必要です。「ぐらい」の許容範囲が、tallについては狭いですので、わずかな誤差には almost as tall as という表現を使います。
このことから、as … as ~を用いる際は「同じぐらい」よりは「同様に」という理解をしておいた方がよいでしょう。
また、この表現を用いて、最上級の内容を表すことができます。
(例10)No (other) mountains in Japan is as high as Mt. Fuji.
「富士山ほどの高さにある山は日本にはない」
なお、この表現に【序数+times】をつけると、【序数倍】という意味になります。
(例11)The score you got is three times as high as yours.
「私がとった点数は君の三倍だ」
*not as[so] 原級 as A / 「Aほど…ない」
(例12) The weather today is not so rough as yesterday.
「今日の天気は昨日ほど荒れてはいない」
練習問題
34. 次の(1)~(5)の英文中の( )に当てはまる語句を、ア~エからそれぞれ選びましょう。
(1)His bag is ( ) than mine.
ア big イ bigger ウ the biggest エ the bigger
(2)The movie you recommend is ( ) than this new one.
ア interesting イ most interesting ウ more interesting エ interested
(3)My grandfather is senior ( ) my grandmother.
ア than イ of ウ in エ to
(4)The Ishikari River is ( ) river in Japan.
ア the third longest イ the third longer ウ longer エ longest
(5)No other chair in this store is ( ) this one.
ア cheaper イ as cheap ウ cheaper than エ cheaper to
練習問題33.の答え
(1)① We have a big presentation today.
「私たちは今日、大きなプレゼンテーションがある」
② Today is the day ( when / that ) we have a big presentation.
「今日は私たちに大きなプレゼンテーションがある日だ」
(2)① No matter what they say, you don’t have to worry.
② ( Whatever ) they say, you don’t have to worry.
「彼らが何を言おうとも、あなたは心配する必要はない」
(3)① We will welcome everyone who loves music.
② We will welcome ( whoever ) loves music.
「我々は音楽を愛するすべての人を歓迎する」
(4)① I know the reason that you didn’t go to the party last night.
「私はあなたが昨晩パーティーに行かなかった理由を知っている」
② I know ( why ) you didn’t go to the party last night.
「私はなぜあなたが昨晩パーティーに行かなかったのか知っている」
(5)① However hard I worked, my way of living wouldn’t get better.
② ( No ) ( matter ) how hard I worked, my way of living wouldn’t get better.
「どんなに一生懸命働いても、私の暮らし向きは改善されなかった」
(6)① The book tells you how you can earn enough money.
「その本はあなたに十分なお金の稼ぎ方を教えてくれる」
② The book tells you the ( way ) ( in ) ( which ) you can earn enough money.
「その本はあなたに十分にお金を稼ぐ方法を教えてくれる」