前回は、おなじみのandやorなどの接続詞と、「等位接続詞」「従位接続詞」について扱いました。基本的には、文と文、節と節などをつなげる役割を担うのが接続詞ですが、1語だけではなく、接続詞的に機能する熟語も紹介しながら、接続詞の機能について説明いたしました。
接続詞とはひとくちに言ってみても、これはこれでまた奥の深い世界になりますし、突き詰めると際限がなくなるので、今回は接続詞とこれに準ずる働きをする表現のうち、「接続副詞」の主だったものを、種々ご紹介したいと思います。
接続副詞
副詞としての機能を持ちながら、前後関係を繋ぐ働きをするものを「接続副詞」といいます。論理的な接続を表す機能だけの接続詞とは異なり、接続副詞はそれ自体で意味を持ちます。
接続副詞の使い方
文や後続する節の先頭・中間・末尾のいずれにも置くことができますが、先頭に限られるものもあります(例:so)ので、意味のつながりを考えておくとよいでしょう。また、前の文に続く独立した分で用いることができるものもあります(例:however)。
節【主語+動詞】と節【主語+動詞】(この関係にあるものを「等位節」といいます)を、接続副詞だけでつなぐ場合は、” ; ”(セミコロン)+接続副詞+”,”となるのが正式です。ただし、接続される節が、さらにandなどでつながっているような場合は、等位節とならないので、” , “+接続副詞~ となります。
接続副詞を用いた表現
<besides / also / moreover>(追加)「さらに」
(例1)He is a polite man; besides, he is kind to everyone.
「彼は礼儀正しい男性だ。そのうえ、彼はみんなに優しい。」
「存在」を表すbeに、「そば」を表すsideがついたものが原義です。もとの文章の内容の「そばに」もうひとつの内容、というイメージです。
<then>「それから」
(例2)Walk along the river; then, turn right at the third corner.
「川に沿って歩きなさい。それから、3つめの角を右折しなさい」
会話や説明文で順番を表す言葉でもあります。
<however>(逆接)「しかしながら」
(例3)I like beer. However, I don’t like this one.
「私はビールが好きだ。しかし、これは好きではない」
butよりもやや堅い言い方です。文末にも文頭にも用いることができます。
<still>「それでもなお」
(例4)It’s raining hard. Still, they continue picking garbage up.
「激しい雨が降っている。それでもなお、彼らはゴミを拾い続ける」
stillには、「依然として」というイメージがあるため、不利な条件にもかかわらず、依然として続けているという内容になじみやすい表現です。
<otherwise>「さもなくば」
(例5)You’d better watch streaming movies too much; otherwise, you might waste your time.
「ストリーミング動画を長い時間見ない方がいいよ。さもないと、時間を無駄にするかもしれないよ」
<so>(因果関係)「それゆえ」
(例6)Jim was tired up yesterday, so he went to bed earlier than usual.
「ジムは昨日疲れ果てていたので、いつもより早く寝た」
soは理由を表す表現として、学生がよく使う傾向にあります。しかし、注意したいのは、このsoは「相当因果関係」、つまり、「だから当然に」というニュアンスが含まれます。
この例では、「疲れ果てていた」ということから、「いつもより早く寝ても致し方ない」というニュアンスが含まれていることになります。これが「ちょっとだけ疲れていた」のであれば、いつもより早く寝るかどうかわかりません。こういう場合は、soよりもandが好まれます。
(例6-2) Jim was a little tired yesterday, and he went to bed earlier than usual.
「ジムは昨日少し疲れていて、いつもより早く寝た」
<therefore>「ゆえに」
(例7) The road was slippery yesterday; therefore, many cars ran slowly and I was caught in traffic jam.
「昨日、道路は滑りやすかった。それゆえ、多くの車がゆっくり走り、私は渋滞につかまった。」
there「そこ」+fore「前面」ということで、「その次に」というイメージ、そして「因果関係」につながります。「そこの前面」というからには、話の論理的なつながりが重んじられます。つまり、thereforeは文語的でとても改まった表現となります。
<that is (to say)>「すなわち」<=namely>
(例8) The card reader doesn’t work; that is to say, your card is invalid.
「カードリーダーが作動しません。すなわち、あなたのカードは無効です」
that is to sayは「それを言うならば」というイメージから、「すなわち」になります。なお、こちらは口語・文語どちらも用いられますが、namelyは同じ意味で文語的になります。
練習問題
32. 次の(1)~(4)の( )にあてはまる語句を、ア~エから選びましょう。
(1) He missed the first train today; ( ), he was late for the school.
ア otherwise イ namely ウ however エ still
(2) She is sick in bed; ( ), she is absent today.
ア however イ still ウ therefore エ then
(3) His new car runs quiet; ( ), it uses less fuel than his former one.
ア moreover イ therefore ウ however エ so
(4) I worked hard today, ( ) I got home early and took a rest.
ア still イ however ウ otherwise エ so
練習問題31.の答え
(1)( Both ) his house ( and ) my house were built in the same year.
「彼の家も私の家も、同じ年に建てられた」
(2)I kept the stove running ( lest ) I catch a cold.
「風邪をひいてはいけないので、私はストーブを運転したままにしておいた」
(3)( Not ) only my father ( but ) his boss were ordered to go on a business trip for a while.
「私の父だけではなく、彼の上司もしばらくの間の出張を命じられた」
(4)( Whether ) the contract was closed successfully is a secret.
「契約がうまく締結されたかどうかは秘密です」
(5)Stop smoking right now, ( or ) you will be suffered from lung cancer.
「すぐに煙草をやめなさい。さもないと、肺がんで苦しむことになるよ」