30日で学ぶ高校英語|Day12【助動詞のおはなし②法助動詞と原義⑵】

前回の課では、動詞の前に置かれ、動詞に意志・可能性・能力・義務などの意味を付け加える「法助動詞」のうち、未来になじむものと、可能性になじむものを扱いました。その内容は、ほとんどが中学で習った内容をベースにしているものですが、高校で新しく習う内容として、中学の内容から派生したものもあったことに気づいたことでしょう。

今回の課でも、前回に引き続き、法助動詞の原義に触れながら、助動詞の表現になじんでまいりましょう。

 

可能性になじむ助動詞②~may might

 【canとは少しちがった「ありうる」のmay

法助動詞may自体は、canでも扱った「ありうる」という意味ですが、その原義が少し違っています。canは【能力的にできる、ありうる】の意味が強く、mayは【物理的にできる、ありうる】の意味が強いものです。また、canの表す可能性は「ありうるかどうか」、mayの表す可能性は「ありうるかどうか、またその程度は」という内容になり、やや広くとられる感じがあります。

 

(例1)You may park here when our office is closed.

「事務所が閉まっているとき、あなたはここに駐車してよい

これは「許可」の表現ですが、canの表す許可とは違い、権限のある者が、権限を与えるようなイメージです。

 

(例2)In this flight, passengers may order some drinks as they like.

「この便では、乗客の皆さまはお好みのドリンクをご注文いただけます

これも「してもよい」の表現となりますが、「行為の容認」となり、(例1)よりもソフトな言い方になります。

 

さらに、ありうるというニュアンスから、「~してもよいように」という目的を控えめに言うときにも使います。

(例3)We offer you a new plan so that your payment may be more useful.

「あなたの決済がもっと便利になるよう、新しいプランをご提供します」

この例のように、目的や譲歩を表す副詞節(ここではso that 以下の部分です)の中で使います。やや固い文語的表現となります。

 

(例4)Your opinion may be true.

「あなたの意見は本当の事なのかもしれない

これは「推量」の表現です。ありうるかどうかの可能性に加え、可能性の程度を広く見積もる「かもしれない」という表現になっています。

 

(例5)May the new life be filled with hope for you.

「あなたにとって、新生活が希望で満たされるものでありますように

これは「祈願」の表現です。命令文のように、「なるかもしれないこと」を文頭に置くことで、「そうなってほしい」という思いを強調しています。また、その強調のために、主語と動詞の位置が入れ替わる「倒置」を用いるのも、mayを使った願望の表現のポイントとなります。

 

また、mightはmayの過去形として用いられ、時制の一致で使われるほか、仮定法過去で控えめにmayの内容を現在時制としていうことにも使われます。

 

 断定になじむ助動詞~must

【~であるに違いない】が意味の中心

カタカナ英語で、「マストアイテム」などという表現を聞いたことがないでしょうか。このカタカナ英語は、「必要とされるもの」という意味で使われていますが、実際のmustの意味を踏まえるならば、「ちがいない(=断定的、決定的な)もの→必要なもの」という感覚になります。

このように、意味の中心に【~であるに違いない】のイメージを据えておくと、これからご紹介する例文のそれぞれの用法も、納得できるのではないでしょうか。それでは、例文に移ります。

 

(例6)You must have an identification card.

「あなたは身分証明書を持参しなければなりません

→「身分証明書を持ってくるに違いない」というニュアンスから、「持ってこなければいけない」という「義務」を表します。

 

(例7)You mustn’t park here. You will be fined.

「あなたはここに駐車してはいけません。罰せられます」

→「駐車していないに違いない」というニュアンスから、「駐車してはいけない」という「禁止」を表します。

 

(例8)What he’s just said can’t be true. That must be a joke.

「今彼が言ったことは本当なわけがない。それは冗談であるにちがいない

→まさに「~であるに違いない」の使い方です。よくmust be 形容詞(分詞含む)または名詞の形で用いられます。

 

(例9)He got his wage yesterday. He must have bought a new computer.

「彼は昨日給料を得た。新しいコンピュータをきっと買ったことだろう

過去の出来事に、「したはずだろう」と断定する表現にするため、助動詞mustのあとに完了形を持ってきた表現です。

 

 have toの使い道

【must=have to?】

ところで、助動詞mustには過去形が存在しません。なぜなら、mustの意味自体に、「()そうであるに違いない」というニュアンスがあるからです。

ところが、過去に「すべきだった」ということを表現しなければならない場面もあります。その場合に用いられるのが、had toという表現です。

 

では、そのhave toについて、少し掘り下げてみましょう。

 

そもそも、have to doで表す表現を1語ずつ解釈すると、【doする方向性を持つ】ということになります。そして、意味としては、たしかにmustと同じく「~しなければならない」ということになります。

しかし、表現としては、mustのほうが堅い表現となります。なぜなら、have toを使うと「~する方向で」「~する感じで」、日本の若者言葉で言うならば「~する的な」というニュアンスが生まれるからです。このことからも、義務の「~しなければならない」という表現では、mustよりもhave toが積極的に使われることとなります。

 

例えば、I must go now. が「もう行かなくてはならぬ」という感じになるのに対し、I have to go now.とすると「もう行かなければなりませんね」という感じになります。また、もう少しくだけた言い方として、I have got to go now. (口語で I gotta go.と言いますが、これは学校では教えてくれないでしょう。)とすると、「もう行かなきゃ」という感じになります。

 

なお、疑問文や否定文でhave toを使う時、haveを本動詞として扱い、助動詞doを使って表現します。

 

(例10)Do I have to leave now?

— No, you don’t have to. Please make yourself at home.

「もう行かなければいけませんか

「いいえ、その必要はないですよ。どうぞ気楽にお過ごしくださいませ」

 

練習問題

17.次の(1)~(4)にある①・②の英文の組み合わせが、それぞれ同じ意味になるとき、(  )に適語を補いましょう。ただし、短縮形も1語とします。

(1) ①It’s necessary for you to buy a ticket here.

②You (           ) buy a ticket here.

(2) ①He is allowed to enter this area.

②He (          ) enter this area.

(3) ①We (          ) have rain tonight.

②We are afraid that we have rain tonight.

(4) ①He said he stopped smoking, but he (         ) (         ) stopped because

he smells like cigarette.

②He said he stopped smoking. But we don’t believe what he said because he smells like cigarette.

 

練習問題16.の答え

(1) He goes to the hospital. 【明日病院に行くつもりだ】

→ He will go to the hospital tomorrow.

(2) My own car doesn’t move. 【どうしても動かない】

→ My own car won’t move.

(3) What he said yesterday is true. 【本当であるはずがない】

→ What he said yesterday can’t be true.

(4) Can you bring me a piece of paper? 【持ってきてくださいますか】

Could ( Would ) you bring me a piece of paper?

(5) The cloud is thick. 【厚くなることもある】

→ The cloud can be thick.

 

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