30日で学ぶ高校英語|Day8【動詞のおはなし②使役動詞と知覚動詞】

 前回の課では、英語の動詞の一般的なお話をしました。基本的には、自動詞であれば動詞1語で、他動詞であれば目的語と合わせることで、英文の意味の「核」となるところをとらえることができます。

さらに、英語の動詞では、特定の語順を用いることにより、もともとの動詞の意味を活かしつつ、表現のバリエーションを広げることができるようになります。

今回は、「使役動詞」「知覚動詞」のお話をしながら、具体的にどのような表現のバリエーションとなるか、見ていきましょう。

 

使役動詞

使役動詞とは、【主語】が【目的語】に【ある行為】を【させる】という文で、【させる】の部分を担う動詞のことをいいます。一口に「させる」、といっても、許可を与えてさせるのか、任意の状態でさせるのか、説得してなのか、無理にでもなのか…という、さまざまなケースが考えられますよね。

 

まず、使役動詞で用いられる4つの動詞を紹介します。

【make】・【let】・【have】・【get】の4種類です。それぞれどのようなイメージになるのか、下の図をご覧ください。

 

 【 make と let 】

【 have と get 】

では、ひとつずつ、具体的な使い方を見ていきましょう。

 

 使役動詞のmake

形:【make+目的語+原形不定詞】

※原形不定詞については、不定詞の課で詳しく扱います。

図の例では、In spite of my sickness, my boss made me work hard.

「私が病気にもかかわらず、上司は私に熱心に働かせた」となります。

→無理にでも、強制的に「させる」という、相手の意思を無視した強い意味になります。

 

 使役動詞のlet

形:【make+目的語+原形不定詞】

図の例では、My boss often lets me get on new projects.

「上司は私によく、新しいプロジェクトにかからせてくれる」となります。

→相手のしたい意思を尊重し、許可するという意味になります。

 

※let usの短縮形は let’s ですが、ニュアンスが異なりますので注意しましょう。

Please let us know if you have any questions.

「ご質問がございましたら、私どもにお知らせください」(使役)

Let’s go sightseeing when you finish your work.

「仕事が終わったら観光に行きましょう」(勧誘)

 

 使役動詞のhave

形①:【have+目的語+原形不定詞】

図の例では、The guests had a waiter bring another glass of water.

「客はウェイターにグラスにもう一杯の水を持って来させた」となります。

→「してもらえる状態を持つ」というイメージになります。

 

形②:【have+目的語+現在分詞】

(例) The singer had the audience moving. 「その歌手は聴衆を感動させていた

→「させている状態を持つ」というイメージになります。

 

形③:【have+目的語+過去分詞】

(例) I had my iPhone repaired. 「私はiPhone直してもらった

→「してもらう状態を持つ」というイメージになります。

 

 使役動詞のget

形:【get+目的語+to不定詞】

“これからしてもらう方向”という意味で、to不定詞となります。

図の例では、My boss got me to go on a long business trip.

「上司は私に(なんとか)長期出張に(出ることをさせた→)行かせた」

そのほかにも、こんな使い方もできます。

(例) Why could he get his father to quit smoking?

「なぜ彼は、お父さんに煙草を辞めさせることができたのか」

 

知覚動詞と目的語

知覚動詞とは、「Oが~するのを…する」という意味で、かつ、「…する」の部分が、

【見る/聞く/感じる/触れる】などという意味になる動詞を指します。

知覚動詞において、「~するのを」という部分は、原形不定詞・現在分詞・過去分詞のいずれをとることができるものが多いですが、意味を考えると現在分詞しかとれないものもあります。

 

まず、知覚動詞の例を見ていきましょう。

*feel(感じる)  *hear(聞こえる)  *listen to(~を聞く)

*look at(~を眺める) *notice(気づく)  *see(見える)  *watch(見守る)

これらは、原形不定詞・現在分詞・過去分詞いずれもとることができます。

 

*perceive(気づく) *smell(においがする)

これらは、「~しているのを…する」という文脈をイメージさせるため、現在分詞しか使えません。

 

次に、原形不定詞・現在分詞・過去分詞のニュアンスの違いに着目して、例文を見てみましょう。

 

(例1)I saw him running on the road yesterday.

「私は彼が昨日路上を走っていたのを見た

(例2)I saw him cross the road.

「私は彼が道を横断したのを見た

(例3)When I heard my name called, I was fast asleep.

「私が名前を呼ばれたのを聞いたとき、私は熟睡していた」

 

例1では、彼の一時的な動作を見ていたということになりますので、一部始終を見ていたということにまではなりません。He was running.という関係があります。

例2では、彼が横断する動作の一部始終を見ていたということになります。Day 3「分詞のおはなし」でもあったように、原形(あるいは原形不定詞)で表される基本相は、動作の一場面でも、終わりごろでもなく、動作全般を表すからです。

例3では、自分の名前が呼ばれるのを聞いたという内容です。My name was called.という関係があります。

 

練習問題

11. 次の(1)~(4)の英文にある(  )を、「 」で表す日本語の意味になるように埋めるには、ア~エのどれを選べばよいか答えましょう。

 

(1)When I was a teenager, my parents didn’t (          ) any digital devices.

「持たせてくれなかった」

ア make me have   イ let me have    ウ have me get  エ get me to have

 

(2)The commander (            ) his order. 「従わせた」

ア made us obey      イ let us obey   ウ had us obey  エ got us to obey

 

(3)There’s something wrong with my car. I’ll (        ) soon. 「直してもらう」

ア make it repaired イ let it repaired ウ have it repaired エ got it to be repaired

 

(4)I insist that we should (           ) smoking right now. The doctor says that

he’s suffering from lung cancer. 「やめてもらう」

ア make him quit   イ  let him quit  ウ have him quit エ get him to quit

 

12. 下線部に注意し、次の(1)~(4)の英文を日本語にしましょう。

(1)I feel someone stalking me.

(2)My parents watched me grow up.

(3)I heard the radio making some noise then.

(4)He saw your name written on the invoice.

 

練習問題9.の答え

(1) The soldiers walked 15 miles a day.

「兵隊たちは1日15マイル(の距離)を歩いた

歩く行為自体は、自分自身で完結させられるので、自動詞となる。

(2) In the old days, the officer of prison ordered the prisoners to create new roads.

「かつて、刑務官は受刑者たち新しい道路をつくらせた

order 人(O1) to do(O2) で、O1にO2をするよう命じた、となるので、他動詞。

(3) The residents pay respect to their duty.

「住民たちはその犠牲に敬意を払っている

敬意を払う対象が必要となるので、他動詞となる。

(4) The story became popular among all people.

「その物語はすべての人々の間で有名になった」

The story と popularがイコールの関係になる。また、becomeはbe動詞に準じて、「~になる」という意味になるが、直後にくるのは目的語ではなく補語となるので、自動詞となる。

(5) It became a famous movie. 「それは有名な映画になった」

(4)と同様に、it と a famous movieがイコールの関係になり、becomeは自動詞であるとわかる。

 

練習問題10.の答え

※いずれも 原形 – 過去形 – 過去分詞形。

(1) run – ran – run (2)wash – washed – washed  (3)emit – emitted – emitted

(4)carry – carried – carried  (5) concur – concurred – concurred

 

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