少し開いてしまいましたが、前回の「分詞のおはなし」Day 3では、分詞が動詞と形容詞のはたらきを分け持つということを扱いました。そして、動詞にはその状態を表す「相」という考え方があることもお話ししました。
分詞の働きとしては、形容詞の働きとして名詞を修飾することについては、基本的知識として扱っていますが、その他にも分詞を用いた構文なども、この課でご紹介したいと思います。
分詞構文の使い方
分詞構文では、前回Day3 でもお話したように、現在分詞には「~している」、過去分詞には「~される」という、それぞれのコアイメージがあります。そのコアイメージは構文になっても基本的にそのままとなります。
では、どのような構文がつくられるのでしょうか。さっそくいくつか例文を見ていきましょう。
(例1)Driving on the road, he saw the aircraft flying over him.
「車を運転していると、彼は真上を飛ぶ飛行機を見かけた」
この例では、「真上を飛ぶ飛行機を見た」場面が、車を運転しているときだっただということを、大事な情報として扱うために、現在分詞のdrivingから始まる節を文頭にしているものです。
(例2)Persuaded by my father, I decided not to fly to Europe.
「父に説得され、私は渡欧しないことを決めた」
この例では、「渡欧しないことを決めた」のが、父に説得されたことを受けたものだということを、大事な情報として扱うために、過去分詞のpersuadedから始まる節を文頭にしているものです。
(例3)Being tired, I couldn’t work anymore that day.
「疲れていたので、私はその日それ以上働くことができなかった」
この例のように、状態動詞を分詞構文で用いる場合は、原因や理由を表すことになります。
また、分詞の意味を明確にするために、分詞の前に接続詞をつけるものもあります。
(例4) If running there, you can see the great view.
「もしそこを走れば、あなたは素晴らしい眺めを見ることができる」
もしここで、ifなどの条件節を表す接続詞がなければ、「走ったならば」、「走っていると」、「走っているところで」など、意味が複数考えられるようになります。そのため、意味を明確にすることを目的として、分詞の前に接続詞を置くことがあります。
分詞構文を否定の内容で作る場合は、分詞の内容を否定したいので、分詞の前にnotを入れることになります。
(例5)By not buying the ticket, we can’t enter the gate.
「チケットを買うことなしに、私たちは門をくぐることはできない」
また、分詞構文が本動詞よりも前の時点を表すようにするには、【Having 過去分詞】から始めるようにします。
(例6)Having bought this computer, He started making deals on the Internet.
「このコンピューターを買って、彼はインターネット取引を始めた」
この例文では、彼が過去にインターネット取引を始めたという内容ですが、その前に「このコンピューターを買っていた」という状態を「持って」と表すために、完了形のhaveを現在分詞で表しているものです。
独立分詞構文
分詞を含む従属節において、分詞の意味上の主語が主節の主語と違う場合に、主節の主語を主格のままおく構文を「独立分詞構文」といいます。独立分詞構文を用いると、説明文のような表現となるため、より文語的になります。
(例7) Jimmy walked alone, his clothes broken.
「ジミーは服がぼろぼろのまま、一人で歩いた」
また、「Oを~しながら」という付帯状況を表すには、【with + O +分詞】という語順をとることとなります。
(例8) Mary drove her car with her glasses broken.
「メアリーは眼鏡が壊れたまま車を運転した」
この文では、「壊れている」ものの目的語Oが付帯状況を表すwithの直後に来ることに注意が必要です。
また、これらの独立分詞構文は、慣用句的に用いられます。決まりきっていますので、覚えておきましょう。
(例9) Judging from the weather today, we can go on hiking.
「今日の空模様からすると、私たちはハイキングに行ける」
直訳すると、「今日の空模様から判断すると」という意味になります。
(例10) Frankly speaking, I don’t want to talk with him.
「正直に言うと、私は彼と話しをしたくない」
(例11) Taking his words into consideration, the relationship between our company and his company are getting better.
「彼の発言を考慮に入れると、わが社と彼の会社との関係性はより良いものに
なってきている」
この文では、「考慮の中に彼の発言を持ち込む」というイメージから、「考慮に入れる」という訳になっています。
練習問題
25.次の(1)~(5)の英文①・②の組み合わせが、ほぼ同じ意味になるようにするとき、( )に当てはまる語句を答えましょう。
(1)①If you go there, you can find the station.
②If ( ) there, you can find the station.
(2)①When we got to the hotel, we were tired up.
②( ) ( ) to the hotel, we were tired up.
(3)①He advised that I should go to bed early. I’m going to sleep early tonight.
②( ) by him, I’m going to sleep early tonight.
(4)①In fact, I don’t want to quit smoking.
②Frankly ( ), I don’t want to quit smoking.
(5)①When it comes to playing music, I used to play the guitar.
②( ) of playing music, I used to play the guitar.
練習問題24.の答え
(1)①My father advised that I should read more books.
②My father advised me ( to ) ( read ) more books.
(2)①I saw him yesterday. He entered the store.
②I saw him ( enter ) the store.
(3)①Please allow us to use this room.
②Please ( let ) us ( use ) this room.
(4)①It’s dangerous for you to drive like this.
②You ( had ) ( better ) drive safely.
(5)①I don’t know when I should visit his house.
②I don’t know ( when ) ( to ) visit his house.