30日で学ぶ高校英語|Day22【仮定法のおはなし①3つの法と仮定法総論】

中学英語までは、話し手の要求や願望についての表現を、文法的に説明されたことはあまりないのではと思います。しかし、

I would like to have a cup of coffee, please. 「コーヒーを1杯下さい」

というように、話し手の願望や意思を控えめに表現する方法自体は習っているかと思われます。

会話の定型表現として覚えてしまえば、たしかに文法について解明する必要まではないように感じられるかもしれません。しかし、ここでwouldを調べてみると、「willの過去形」であるとわかり、「どうして現在のお話なのに過去形を使うのか」という疑問が浮かぶことでしょう。

英文の表現方法には、【直接法】【命令法】【仮定法】という、3つの「法」が存在します。これらの内容を説明することで、この疑問にも答えられるようになります。では早速、見ていきましょう。

 

直接法・命令法・仮定法

英文でいう【】とは、話し手の意識をどこに置くかということを表すものです。そして、英文の法は、次の3つに分けることができます。以下の図をご覧ください。

 

・直接法…実際に事実であるかどうか、またその肯定・否定とも関係なく、あくまでも

話し手の意識が【事実】にある表現方法。

・命令法…話し手の意識が【命令】や【要求】にある表現方法。

大切な情報ほど文頭に来る】ので、原則として、命令や要求の動詞の原形から

英文を始めることになる。また、命令文は2人称(命令の相手)主体で表現する。

・仮定法…話し手の意識が【仮想の世界】、【自分の意思だけでは動作が完結しないこと】

におかれる表現方法。

 

直接法、命令法は、すでに扱っている内容でなじみがあると思いますが、なかなかなじみがないのは、仮定法となるでしょう。それでは、仮定法とはどんなものなのか、見てまいりましょう。

 

仮定法の文の特徴

仮定法は、先にも述べた通り、【仮想の世界】や【自分の意思だけでは動作が完結しないこと】を表現する文法です。そして、表現する上で大切なことは、【時制を一つ戻す】ということです。

つまり、現在時制を念頭に置いたお話では過去形を、過去時制を念頭に置いたお話では過去完了形を用いることとなります。そして、日本語でも「もし…であるならば」「もし…であったならば」という表現しかないように、英語でも未来に関する過程は「もし…であるならば」の現在時制に対応するということになります。

 

【仮定法過去】

過去形の持つイメージは、単純な過去のことを表す以外に、「現実の行為との何らかの距離感」を表しています。つまり、現在時制を念頭において過去形を用いている場合は、「実際にはかなわないこと」か「かなうには自分の意思だけでは不十分」という場合です。これを【仮定法過去】といいます。

 

(例1) If I were a rich person, I could travel all over the world.

「もし私が豊かな人だったら、私は世界中を旅することができただろうに

この例文では、be動詞・法助動詞couldはそれぞれ過去形を使っていて、実際には、「そこまで豊かな暮らしをしているわけではないので、世界中を旅することはできない」ということを表しています。

 

また、仮定法過去においては、基本的にbe動詞は”wereのみとなります。wereは2人称や複数に対応するbe動詞ですが、これを使うのは、主語がIであっても、「自分(第1人称)のことではなく、「他の誰か・何か(第3人称)」ほど遠い話ではないというイメージからです。

 

未来についても可能性の乏しいことは、仮定法過去を用いて表します。

 

(例2)If you got a private jet, where would you like to go first?

「もしプライベートジェットが手に入ったら、最初にどこに行きたいですか」

直接法であれば、主節で意思未来”will”を用いるのですが、仮定法の表現であるため、過去形のwouldを用いることになります。

 

【仮定法過去完了】

過去の事実と反する仮定を表す場合は、仮定の文や節において仮定法過去完了を用いることとなります。これは、過去のある時点よりも前に仮定していたであろうというニュアンスによるものです。

 

(例3)If I had studied hard, I could have graduated from an university.

「もし熱心に勉強していたら、私は大学を卒業できていただろう

この例では、if節で【had+過去分詞】を用いて、主節で「できていただろう」という内容を表すcouldに加え、完了形を持ち込んでいます。直接法であれば、could graduateとなるところですが、時制をひとつ戻すために、法助動詞+現在完了形という形にしています。

 

【いまごろ~だったろうに】

仮定法過去・仮定法過去完了のいずれを使った文でも、仮定した条件が成就している内容を現在に持ち込みたい場合は、主節を仮定法過去にします。そして、条件節の中で仮定法過去完了を用いている場合は、nowなどの「今を表す語」をあわせて使います。

 

(例4) If Id studied English harder, I could understand what the signboard says now.

「もし英語をもっと熱心に学んでいたなら、今頃その看板が何を伝えるのかわかっていただろうに

 

ただし、この文では、「今も英語をもっと熱心に学んではおらず、その看板の内容が理解できていない」ということも表しています。このように、過去の仮定条件が今でも成就していない場合に、この表現が適しています。

 

練習問題

28.次の(1)~(5)までの英文が、日本語と同じ意味になるとき、( )に当てはまる語句をそれぞれ選びましょう。

(1)If he (            ) there, I’ll go with him.

「もし彼がそこへ行くなら、私も行きましょう」

(2)If I (          ) a bird, I could fly in the sky freely.

「もし私が鳥だったら、空を自由に飛べるのに」

ア am      イ was      ウ be      エ were

(3)If you (            ) on billion yen, what would you do?

「もしあなたが1億円を手にしたら、何をしますか」

ア get      イ got      ウ have got    エ had got

(4)If I (          ) the opportunity to use this room, I could take an enough rest.

「もしその部屋を使う機会があったら、十分な休息をとることができるのに」

ア have         イ have had    ウ had     エ get

(5)If I (         ) had my own car, I could have taken you there.

「もし車を持っていたなら、あなたをそこへお連れすることができたのに」

ア have     イ had      ウ could     エ would

 

練習問題27.の答え

(1)① He sometimes drives his car roughly.

「彼は時々車を荒く運転する」

② ( His ) ( driving ) car is sometimes rough.

「彼の車の運転は時々荒い」

 

(2)① Every time she goes to this park, she brings her lunch there.

② She ( never ) goes to this park ( without )( bringing ) her lunch there.

「彼女が公園に行くときはいつも、昼食をそこに持ち込む」

 

(3)① She hates to be entered her garden by children.

「彼女は、自分の庭が子供たちに立ち入られることを嫌う」

② She minds children ( entering ) her garden.

「彼女は子どもたちが彼女の庭に入ることをいやがっている」

 

(4)① There is no avoiding this bad circumstance.

② ( It ) is ( impossible ) to avoid this bad circumstance.

「この悪い状況を避けることは不可能だ」

 

 COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

30日で学ぶ高校英語|Day15【受動態のおはなし②受動態のさらなる使い道】

30日で学ぶ高校英語|Day8【動詞のおはなし②使役動詞と知覚動詞】

30日で学ぶ高校英語|Day25【接続詞のおはなし②いろいろな接続詞】

30日で学ぶ高校英語|Day2【英文の時制】

30日で学ぶ高校英語|Day18【不定詞のおはなし③to不定詞と原形不定詞】

30日で学ぶ高校英語|Day24【接続詞のおはなし①等位接続詞と従位接続詞】