「進行形」といえば、【be動詞+動詞の~ing形】で表される表現として、中学英語でもおなじみの文法でしたね。中学英語では、be動詞が現在形の「現在進行形」、be動詞が過去形の「過去進行形」の2種類を扱いましたが、高校では、「普通は進行形にしない動詞」、「未来進行形」、「完了形+進行形(くわしくは次の課【完了形のおはなし】でお伝えします)」も扱います。
それでは、まず、基本的な「現在進行形」「過去進行形」のお話をおさらいして、進行形のイメージを確認するところから、始めたいと思います。
進行形=「be動詞+現在分詞」
分詞は、前回のDay3にてお話ししました通り、「動詞と形容詞の意味を分け持つ言葉」というものでしたね。そして、現在分詞につく”~ing”というものが、「動作の場面を切り取る」というイメージがあることも、お話しましたね。
ではさっそく、例文を見てみましょう。
(例1)She is listening to music now. 「彼女は今、音楽を聴いている。」
この例文では、彼女が今、音楽を「聴いている(場面の状態にある)」ということを表しています。状態になじむ動詞は、be動詞でしたね。だから、be動詞+”~ing”という形になるのです。
過去進行形にあっても、同じことがいえます。
(例2)When I came home, my mother was cooking dinner.
「私が帰宅したとき、母は夕食を作っていた。」
この例文では、私が帰宅した時に、母が「調理している(場面の状態にあった)」ということを表しています。「あった」なので、過去の状態を表すbe動詞wasに、「調理している場面」というcookingがつながっていますね。
ふだん進行形にしない動詞
その動詞自体に「状態」を表す意味があれば、その動詞は、ふだんは進行形にすることはありません。もし、”~ing”という形を見かけたら、進行形ではなく、文法上、現在分詞や動名詞にする必要がある場面だと考えるとよいでしょう。
【進行形にしない動詞の例】
( )内の意味でこれらの動詞を使うと、日本語訳に「~している」という意味が含まれていることがわかりますね。
belong ( to と合わせて「~に所属している」), consist ( of と合わせて「~から構成されている」), contain(~を含んでいる), have(持っている), resemble(似ている)
知覚動詞 hear (聞こえる), see (見える), smell(香りがする), taste(味がする)では、「今まさに知覚が働いている」という状態を表しています。
その他、感情のhate, likeや、願望のwish, want のほか、think, know, rememberなども、通常は進行形にしません。
では、進行形にしてしまうとどうなるでしょうか。次の(例3)と(例4)の文を見てみましょう。
(例3)He is having a lot of friends.
「持っている」のhaveを進行形にしてしまうと、「たくさんの友達を持つ」という行為を、断続的に行っていることになります。友達が100人できたら、また100人…という具合です。もしくは、「100人できて、失って、またできて…」という感覚です。文法的には誤りがなくても、ニュアンスがおかしいですね。
(例4)He has a lot of friends. これが正しい文です。haveには「持つ」のほかにも、「ある/いる」というbe動詞の代用的な意味もあります。
ただし、「ふだんしないことを、一時的にしている」という状態であれば、進行形を使うこともあります。反対に、習慣的にしていることは、進行形ではなく現在形です。
(例5) He is wearing a white shirt.「彼は(普段着ないのに)白いシャツを着ている」
現在進行形
現在形のbe動詞に、動詞の~ing形(現在分詞)をあわせることで、「今まさに進行している動作やできごと」を表すことができます。一連の動作で場面を切り取るのが~ingだというお話は、前回の現在分詞の課でお伝えしましたが、現在進行形は「今まさに」ですので、始まりの場面には使えませんし、終わっていない動作であることが条件となります。
(例6) We are preparing for the next conference now.
「私たちは今、次の会議の準備をしています。」
また、習慣的に行っていることでも、行為を強調したいときに進行形をつかうことができます。alwaysやconstantlyなどの副詞と合わせることが多く、また、非難する気持ちが込められることもあります。
(例7) He is always speaking ill of others.
「彼はいつも他人の悪口を言ってばかりだ。」
近い未来のことも、現在進行形で表すことができます。
(例8) The bus is stopping. 「バスが止まろうとしています」
減速して、停留所や交差点で動きを止めようとしている状態ですので、数秒後には動きが止まるという感覚です。
(例9)We are going to Finland tomorrow.
「私たちは明日、フィンランドに行くことになっています」
あらかじめ決められた予定について言います。We are going to go to Finland.という表現もできますが、「行く方向にある」となり、toの後ろにすぐ目的地であるFinlandをもってきたほうが、「行くことになっている」という意味を強めます。
また、この使い方をするときは、例文のtomorrowのように、未来を表す語を伴うことが多いです。
過去進行形
be動詞の過去形のあとに、”~ing”にすると、過去のある時点で、進行していた動作やできごとを表します。
(例10) I was sleeping when my sister came home.
「妹が帰ってきたとき、私は寝ていた。」
例文のwhenのように、過去のある時点を表す語を伴うことが多いです。
また、過去のある時点から見た、近い未来や予定を表す際にも使えます。
(例11)He was busy then because he was going on a business trip at that night.
「彼はその時忙しかった。なぜなら、その夜に出張することになっていたからだ」
過去の忙しかった時点を起点として、その先に、出張する「予定」が入っているという例文です。
未来進行形
will be ~ingの表現で、未来のある時点に進行中の動作を表します。willは未来を表す「助動詞」ですので、直後のbe動詞は原形のbeとなります。
(例12)I will be flying over Russia about this time tomorrow.
「私は明日の今頃、ロシア上空を飛行中だろう」
例文のabout this time tomorrowのように、未来のある時点を表す語句を伴うことが多いです。
練習問題
4.次の(1)~(6)の文脈で、進行形にできないものをすべて選びましょう。
(1)His son belongs to this soccer team.
(2)His son plays soccer.
(3)My daughter ran on the field then.
(4)She has a boyfriend.
(5)The hotel stands on a seashore.
(6)I lie on the bed.
5.次の(1)~(4)の英文中の( )内にあてはまる語句を、ア~エからそれぞれ
選びましょう。
(1)I ( ) TV now.
ア watch イ watching ウ am watching エ was watching
(2)My friend ( ) for me when I came home.
ア waits イ waiting ウ is waiting エ was waiting
(3)He ( ) his car tomorrow morning.
ア drives イ drove ウ was driving エ will be driving
(4)The books ( ) to me now.
ア belong イ belonged ウ are belonging エ will be belonging
練習問題3.の答え
(1)I saw his brother running in the park yesterday.
(2)Do not leave a car engine running here.
(3)I heard your name called.
(4)A drowning man will catch at a straw.
(5)I feel someone following me.
(6)I had my bicycle stolen yesterday.( stolen / yesterday / had / my / I / bicycle ).
(7)He came home discouraged yesterday.
※分詞が修飾する語は、下線を引いております。